帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、水ぼうそうと同じウイルスが原因で、体の神経に沿ってピリピリとした強い痛みと赤い発疹・水ぶくれが帯状に現れる皮膚の病気です。
子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが、体内のどこかの神経の部分にひそんでいます。神経として多いのは胸部にある肋間神経、腰からおしり、そして脚のほうに続く座骨神経、顔にある三叉神経などです。
加齢や疲労、強いストレス、病気などによって免疫力が低下すると、眠っていたウイルスが再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に達することで発症します。
帯状疱疹にかかると、高齢者では特にピリピリした痛みが数年にわたって続く方がいます。
痛みは苦痛とともに、日常生活にも影響を与えてしまいます。
今回は、在宅医療に携わる中で帯状疱疹の後遺症(帯状疱疹後神経痛)がなかなか消えず 、苦労している事例を紹介いたします。
※本記事は個人の看護体験に基づくものであり、医療的な診断や治療を代替するものではありません。症状がある場合は医療機関を受診してください
【症例】81歳男性Aさんの経過と初期症状
💡 ここから下に実際の帯状疱疹の写真が表示されます。 本記事では、帯状疱疹の経過を分かりやすくお伝えするため、実際の症例写真を掲載しています。
一部、傷口の様子がリアルに写っている画像が含まれますので、苦手な方は閲覧をご遠慮いただくか、ご注意のうえ読み進めていただきますようお願いいたします。
81歳 Aさん 男性
肺気腫があり、在宅酸素をされています。
ある日、ちょっとしんどい、だるいといった風邪のような症状がありました。次の日には神経痛とともに、広範囲にわたり帯状疱疹が出ていました。
予防接種はされていませんでした。

ピリピりとした、何とも言えない痛さがありました。
すぐに病院を受診され、抗ウイルス薬(5日間)と、痛み止め(トアラセット)が処方されました。それと同時に、帯状疱疹の塗り薬が出ました。
ご自分での管理困難とのことで、訪問看護師により、お薬を塗ってガーゼ保護の処置が始まりました。
5日後、水ぶくれが破れて、皮膚がめくれて来ました

引き続き、痛み止めと塗り薬で対応していました。
少しずつ、食欲が落ちてしまいお熱も出始めたため、補液としての点滴と抗生剤の点滴を開始しました。

2週間後です。皮膚がめくれていた箇所も治ってきて、上皮化しています。
あとは、お薬を塗りつつ清潔を保ち、皮膚が塞がるのを待ちます。
食欲も戻り、お熱も下がりました。
薬が増えても治まらないピリピリとした強い痛み
お熱も下がり、食欲も戻っていましたが、ピリピリとした痛みだけは取れませんでした。
初めは、一種類の痛み止めだけでしたが、医者に痛みを訴えるうちに、
リリカ3錠分3
トアラセット6錠分3
ノイロトロピン4錠分2
メコバラミン3錠分3
と、痛み止めの種類が増えていきました。それでも痛みは消えることなく、日によっては眠れないほどの痛みを感じておられました。
1年経過
1年経っても、痛みは続いており、痛み止めを飲まないと平穏に過ごせない状態です。
しかし、お薬の副作用で採血の結果、腎機能が低下しており、お薬を減らさないといけませんでした。
半分ほどの量にお薬を減らした代わりに、ペインクリニックへの受診を勧められ、注射の治療を受けることになりました
専門外来(ペインクリニック)での治療と2〜3年後の経過
ペインクリニックでは、症状や身体所見から多角的に痛みの原因を診断し、薬物療法だけでなく神経ブロック注射の治療法を駆使して痛みを軽減・消失させQOLを向上させます。
出典:日本ペインクリニック学会「ペインクリニックとは」
Aさんは、神経ブロック注射を受け始めました。
帯状疱疹の神経の近くに注射をうち、痛みを和らげるという治療です。
1回目か2回目くらいには、「数日は痛みがかなりマシだ」と効果を感じておられましたが、6回目くらいには「打っても数日しか効かない」とネガティブな感想に変わっていました。
ご本人としては痛みを0にして欲しいと期待しているわけで、80の痛みが50になったとしても「効かない」という評価になってしまうのかもしれません。
11か月ほど通院され、全部で45回ほどのブロック注射治療を受けましたが、劇的な効果はなくAさんは通院を辞めてしまいました。
2年目
まだ、ピリピリとした痛みは続いています。季節によってマシな時期もあり少しずつ弱くなっている様でした
3年目
まだ、痛みは続いています。採血で腎臓数値も見てもらいながら、痛み止めの量を調節しています。痛みは、やはり時期や体調による様です
痛みで眠れない、という日はないそうです。
痛み止めは4種類欠かさずのんでおり、「飲まないと不安」という意識もあり、お薬は止められない状態です。
かかりつけ医で、定期的に採血をしてもらって、腎臓の数値が悪化していないか診てもらっています。
お年とともに免疫力の低下がきっかけで帯状疱疹は出てくると考えられるので、規則正しい生活、バランス良い食事、そして、質の良い睡眠がとても重要だと感じます。
日頃から体力をつけて、免疫力を高めておくといったイメージでしょうか。
早期の麻酔科(ペインクリニック)受診と東洋医学という選択肢
医者によっては、高齢で帯状疱疹がでた場合、なるべく早く麻酔科のある病院を紹介する方もいる様です。
麻酔科では神経ブロックといった治療が行われますが、これは早く行ったほうがいいとわたしは思っています。早い時期に麻酔科で治療を受けたにも関わらず、あるいは麻酔科への受診が遅れて頑固な神経痛が残ってからの治療はかなりたいへんなようです。東洋医学の針灸による治療などがある程度の効果を発揮する場合もありますが。
山田真『はじめてであう小児科の本』より引用
と述べられています。
東洋医学については、わたしは無知ですが、もし、Aさんのように頑固な神経痛に悩んでおられる方は、選択肢の一つにしても良いのかもしれません。
執筆者プロフィール
mikakoro 在宅医療の現場で働く現役の訪問看護師です。 「おうち療養ガイド」として、床ずれ(褥瘡)ケアや日々の在宅介護で直面する疑問・不安を解決するためのヒントをお届けしています。家族だけで頑張りすぎない、無理のない在宅介護を応援します。

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