在宅治療 大きな褥瘡完治までの一例

70才男性 Hさん

妹と一軒家で2人暮らし

今まで大きな病気なし

お仕事を、引退されてからは部屋に引き篭もりがちの生活を送っておられました

びっくりする事に、布団も敷かずに地べたで寝る生活をされていた様でした

妹さんから依頼の相談を受けたときには、家はゴミ屋敷レベルで、脚の踏み場もない状態で、ゴミの中で寝ころんでおられました

食事もほとんど食べず、真夏にクーラーもつけずに、動くこともできずに寝たきり状態でした

1つ屋根の下の生活ですが、妹さんは全く状況に気付いていませんでした

仙骨部(お尻の少し上)には、大きな褥瘡ができていました

入院はせずに在宅で治療開始

採血の結果、炎症反応以外に大きな異常はなく、お家で治療をしていくこととなりました

今までかかりつけの病院を持っていなかったため、

まずは、訪問診療して下さる地域の病院を探します

今回は、ケアマネジャーさんのご紹介で在宅医療に力を入れている先生を紹介していただくことができました。

まずは、部屋の掃除からしてもらい、

介護ベッドの導入、エアーマットというふわふわで体重を分散してくれる特別なマットを使用します

大きな褥瘡がある場合は、普通のマットではなくエアーマットを選択します

日本は、介護保険制度が整っているため、介護保険の範囲内でレンタルすることが可能です(月に1000円程度、自己負担割合によります)

看護師の訪問開始

毎日、1日2回の看護師の訪問が開始となりました

ヘルパー様も1日1回の訪問が開始となり

シャワー浴は、1週間に1度入られました

栄養不足でしたので、栄養の点滴と

抗生剤の点滴をしばらくの間 毎日実施しました

褥瘡は洗浄をし、ゲーベンというお薬を塗ってガーゼで保護します

褥瘡を治すには、栄養状態がとても大切になってきます

元々、ほとんどお食事摂っていなかったという情報があったのですが

準備するとムセることなく

きちんとたべることは出来ていました

お食事に加えて、エンシュアという高カロリー栄養補助食を1日2本のんでいただきます

とても甘くドロッとしていて苦手なかたも多いのですが、Hさんは拒否することなく飲めていました

まだ70歳とお若く、脳梗塞などはないのですが

Hさんは拘縮があり、自力で動くことができません

看護師による腕や足のリハビリを継続し、なんとか端坐位の保持までもっていくことができました

黒色壊死組織の融解

1か月後の写真です

黒い部分が溶けて、中の皮膚が見えてきました

浸出液は多いですが、感染兆候はなかったため

在宅での処置は継続可能でした

軟膏が、ゲーベンからイソジンシュガー+ブロメライン混合 へ変更となりました

訪問開始時より排便困難な状況で

下剤での調整をしていましたが自然排便難しく

数種類の下剤でも出ず、嘔吐をされる日もありました

CTの結果、宿便があり、排便がお腹にたくさん残っている状態との診断でした

ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)という下剤と

浣腸での排便コントロールを行いました

パーキンソン症候群 疑い

4か月後の写真です。順調に褥瘡は縮小しています

褥瘡の皮膚(お肉)が増えてきており、肉芽良好です

塗り薬はイソジンシュガー軟膏だけに変更となりました

排便は、毎日の下剤と浣腸で出ていましたが、お腹はパンパンに張っており、

ガスが溜まっている状態が続いていました

お腹を温めたり、肛門刺激をしてオナラを出す処置も続けていました

ご本人は、やや表情乏しく、やる気なく、認知機能の低下も認めました

ナースの間では、パーキンソン症候群の可能性を疑いましたが

主治医から検査などを検討する動きはありませんでしたので

疑いは疑いのままとなっています

皮膚の凹凸

6か月後の写真です

皮膚が内に巻いてしまっており、

医師による皮膚切開をしたほうが綺麗に治りそうでしたが、

主治医は実施しませんでした。

塗り薬はプロスタンディンに変更

ほとんど浸出液もなく

状態はよくなってきていました

完全に完治

完治までに8か月かかりました

しかし、入院することなく訪問看護・訪問介護の介入と医師の訪問診療で

在宅で完治したことは喜ばしいことです

もし、感染してお熱が出たり、呼吸の状態が悪くなったり

お食事が食べられなかったりしたら

入院の必要があったでしょう

完全に入院なしで完治までたどり着いた

大きな褥瘡の一例でした

この様に、全身状態の悪化がなければ、在宅での治療も可能であります

そのためには、適切な介護福祉用具の導入

訪問看護や介護による日常生活の援助およびケアなどが大切になってきます

mikakoro

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