在宅介護をしていると、床ずれ(褥瘡)ができてしまい、赤くなったり傷が深くなったりして不安を抱えている方がいらっしゃると思います。
この記事では、大きな床ずれ(褥瘡)の実際の完治事例をもとに、自宅での正しいケアと予防法をお伝えします。
そもそも「褥瘡(床ずれ)」とは?なぜできてしまうのか?
褥瘡ができる主な原因
- 体圧の集中(寝返りが打てない、地べたや固い布団で寝ているなど)
- 栄養不足・脱水(皮膚の耐久性が落ちる)
- 摩擦や湿気(おむつ交換時のズレ、汗や排泄物によるふやけ)
などが考えられます。つまり、簡単に言うと長時間同じ姿勢でいることや皮膚の状態が原因です。
【実例】布団も敷かない生活から、大きな褥瘡が完治するまでのプロセス
💡 ここから下に実際の褥瘡(床ずれ)の写真が表示されます。 本記事では、褥瘡(床ずれ)の経過を分かりやすくお伝えするため、実際の症例写真を掲載しています。
一部、傷口の様子がリアルに写っている画像が含まれますので、苦手な方は閲覧をご遠慮いただくか、ご注意のうえ読み進めていただきますようお願いいたします。
70才男性 Hさん
妹さんと一軒家で2人暮らし
今まで大きな病気なし
お仕事を、引退されてからは部屋に引き篭もりがちの生活を送っておられました
びっくりする事に、布団も敷かずに地べたで寝る生活をされていた様でした
妹さんから依頼の相談を受けたときには、家はゴミ屋敷レベルで、脚の踏み場もない状態で、ゴミの中で寝ころんでおられました
食事もほとんど食べず、真夏にクーラーもつけずに、動くこともできずに寝たきり状態でした。1つ屋根の下の生活ですが、妹さんは全く状況に気付いていませんでした
仙骨部(お尻の少し上)には、大きな褥瘡ができていました

入院はせず在宅での治療開始
採血の結果、炎症反応以外に大きな異常はなく、お家で治療をしていくこととなりました
今までかかりつけの病院を持っていなかったため
まずは、訪問診療して下さる地域の病院を探します。今回は、ケアマネジャーさんのご紹介で在宅医療に力を入れている先生を紹介していただくことができました。
まずは、部屋の掃除からしてもらい、介護ベッドの導入、エアーマットというふわふわで体重を分散してくれる特別なマットを使用します
大きな褥瘡がある場合は、普通のマットではなくエアーマットを選択します。
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日本は、介護保険制度が整っているため、介護保険の範囲内でレンタルすることが可能です(月に1000円程度、自己負担割合によります)レンタルしたい場合は、ケアマネージャーさんや訪問看護師にご相談ください。
看護師の訪問開始
毎日、1日2回の看護師の訪問が開始となりました
ヘルパー様も1日1回の訪問が開始となり、シャワー浴は、1週間に1度入られました
栄養不足でしたので、栄養の点滴と抗生剤の点滴をしばらくの間 毎日実施しました。
褥瘡は洗浄をし、ゲーベンというお薬を塗ってガーゼで保護します。
皮膚の弱い方には下記のテープがおすすめです
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褥瘡を治すには、栄養状態がとても大切になってきます。
元々、ほとんどお食事摂っていなかったという情報があったのですが
準備するとムセることなく、きちんとたべることは出来ていました。
お食事に加えて、エンシュアという高カロリー栄養補助食(医師の処方が必要です)を1日2本のんでいただきます。
とても甘くドロッとしていて苦手なかたも多いのですが、Hさんは拒否することなく飲めていました。
まだ70歳とお若く、脳梗塞などはないのですがHさんは拘縮があり、自力で動くことができません。
看護師による腕や足のリハビリを継続し、なんとか端坐位の保持までもっていくことができました
黒色壊死組織の融解
1か月後の写真です
黒い部分が溶けて、中の皮膚が見えてきました

浸出液は多いですが、感染兆候はなかったため在宅での処置は継続可能でした。
軟膏が、ゲーベンからイソジンシュガー+ブロメライン混合 へ変更となりました
訪問開始時より排便困難な状況で、下剤での調整をしていましたが自然排便が難しく
数種類の下剤でも出ず、嘔吐をされる日もありました。
CTの結果、宿便があり、排便がお腹にたくさん残っている状態との診断でした。
ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)という下剤と浣腸での排便コントロールを行いました。
パーキンソン症候群 疑い

4か月後の写真です。順調に褥瘡は縮小しています
褥瘡の皮膚(お肉)が増えてきており、肉芽良好です。
塗り薬はイソジンシュガー軟膏だけに変更となりました
排便は、毎日の下剤と浣腸で出ていましたが、お腹はパンパンに張っており、ガスが溜まっている状態が続いていました。
お腹を温めたり、肛門刺激をしてオナラを出す処置も続けていました。
ご本人は、やや表情乏しく、やる気なく、認知機能の低下も認めました。
ナースの間では、パーキンソン症候群の可能性を疑いましたが、主治医から検査などを検討する動きはありませんでしたので、疑いは疑いのままとなっています。
皮膚の凹凸

6か月後の写真です
皮膚が内に巻いてしまっており、医師による皮膚切開をしたほうが綺麗に治りそうでしたが、主治医は実施しませんでした。
塗り薬はプロスタンディンに変更
ほとんど浸出液もなく状態はよくなってきていました。
完全に完治

完治までに8か月かかりました。
しかし、入院することなく訪問看護・訪問介護の介入と医師の訪問診療で、在宅で完治したことは喜ばしいことです。
もし、感染してお熱が出たり、呼吸の状態が悪くなったりお食事が食べられなかったりしたら、入院の必要があったでしょう。
在宅で褥瘡を「悪化させない・作らない」ための5つの予防法
こまめな体位変換(寝返りの介助):2-3時間に1回が目安ですが、夜中や介護者の体調によっては、もっと時間を開けても大丈夫です。夜中なら6時間ほどあけても大丈夫な場合もありますが、ご本人の皮膚の状態や使用しているマットレスによって一概には言えません。
福祉用具の活用:床ずれ防止用エアマットレスの導入。介護ベッドのレンタル料金は基本的に月額制となり、料金の目安としては、自費レンタルの場合で月額1万円前後、介護保険適用(自己負担額1割)の場合で月額1,000円前後が相場です。
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皮膚の清潔と保湿:褥瘡(床ずれ)の愛護的な洗浄。強くこすらず、しっかりと泡立ててやさしく1日1回は石けんで洗ってあげてください。皮膚の清潔を保つことを心掛けてください。石けんはどんな種類でも構いませんが、弱酸性の皮膚に優しいものが理想的です。
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衣類やシーツのしわを伸ばす:小さな摩擦を防ぐことで、褥瘡の悪化を防ぎます
栄養状態の改善:タンパク質や水分をしっかり摂ることが重要になってきます。お肉や魚、卵など積極的に食べてください。難しい場合には、栄養補助食品や栄養補助飲料なども活用してください。
栄養補助飲料やゼリーはいろいろな種類がありますので、ぜひご本人さまのお好きな物が見つかるまで試してみてくださいね
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褥瘡ケアはチーム医療。まずは専門家に相談を
自宅ケアだけでは危険なサイン(傷口が黒い、異臭がする、熱が出ているなど)があった場合にはかならず相談してください。
1人で抱え込まずに、主治医や訪問看護、ケアマネジャーに相談することで、悪化させることなく改善への道が開けます。
褥瘡は一度できると治るまで時間がかかりますが、正しいケアで必ず改善します。
家族だけで頑張りすぎず、訪問看護や在宅医師を頼っていただき、チームでの完治を目指します。
まとめ
今回ご紹介したのは、入院なしで完治までたどり着いた大きな褥瘡の一例でした。
この様に、感染を起こさず全身状態が安定していれば、おうちでの完治も可能です。
そのためには、適切な介護福祉用具の導入や
訪問看護や訪問介護による日常生活の援助およびケア、栄養状態の改善などが大切になってきます。
家族だけで抱え込まずに、ぜひ、訪問看護を利用してみてください。
mikakoro
※本記事に掲載している事例やケア方法は一例です。実際の病状の判断や処置にあたっては、必ず主治医や担当の訪問看護師の指示に従ってください。
執筆者プロフィール
mikakoro 在宅医療の現場で働く現役の訪問看護師です。 「おうち療養ガイド」として、床ずれ(褥瘡)ケアや日々の在宅介護で直面する疑問・不安を解決するためのヒントをお届けしています。家族だけで頑張りすぎない、無理のない在宅介護を応援します。


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